「長期修繕計画ってどんなことをを計画するんだろう」、「誰が作るんだろう」、マンションの管理組合に加入して疑問に思ったことはないでしょうか。

そこでこの記事では、マンションで必須となる「長期修繕計画」について説明をいたします。

長期修繕計画についての説明や、盛り込む内容、注意するポイントについても解説しますので、参考にしてみてください。

長期修繕計画って何?

最初に、長期修繕計画について説明をいたします。

長期修繕計画とは、マンションの大規模修繕の時期や定期点検の内容を一定期間見据えて作成した計画のことを言います。

一つの建物を多くの人で区分所有しており、意思決定が容易ではないマンションにおいて長期修繕計画は、快適な住環境の確保や資産価値の維持、向上を図るためには必要なものとなります。

長期修繕計画は誰が作るの?

長期修繕計画は誰が作るものなのでしょうか。以下の三つのケースが考えられます。

  • 分譲会社
  • 管理会社
  • 外部委託先
  • 管理組合

それぞれ説明いたします。

分譲会社

新築マンションの場合は、分譲会社が長期修繕計画を作成します。マンションを販売開始して契約を行う際は、計画修繕積立金等に関する事項を説明しなければならず、長期修繕計画もその中に含まれます。

ですから、新築マンションの場合は、早い段階で長期修繕計画が、分譲会社によって作成されることになります。

なお、分譲会社によって作られる長期修繕計画計画は、マンション販売前の計画のため、長期修繕費用が低めに見積もられていることがあり注意が必要です。

管理会社

日常的にマンションを管理している管理会社で作成をするケースもあります。

有償で行うケース、管理業務の一環として無償で対応するケースがありますが、管理会社が無償で作成する長期修繕計画は、建物診断などを行わない場合もあり、精度が低い場合もあります。

外部委託

設計事務所、コンサル会社などに長期修繕計画の作成を依頼するケースもあります。

専門の会社へ依頼するため、建物診断などを行った上で長期修繕計画を作成してもらうことができます。

実際にマンションに足を運んでの診断となりますので、相応のコストが必要となり、事前に管理組合での合意を得る必要があるでしょう。

管理組合

長期修繕計画は、管理組合で作るという方法もありますが、専門知識がない素人が作成するのは現実的ではありません。

仮に専門知識を有する人が管理組合にいたとしても、負担が大きくなることは否めません。

長期修繕計画に盛り込む内容を解説

長期修繕計画には、どのような内容を盛り込むと良いのでしょうか。

国土交通省では、長期修繕計画に関するガイドラインを作成しています。ここでは、国土交通省のガイドラインの内容に基づいて、長期修繕計画に盛り込む内容についてまとめてみます。

以下が、長期修繕計画に盛り込む内容です。

  • 計画期間と修繕周期の設定
  • 推定修繕工事項目の設定
  • 推定修繕工事費の算定
  • 収支計画

一つずつ説明していきます。

計画期間と修繕周期の設定

まず、計画期間と修繕周期を設定する必要があります。

国土交通省のガイドラインでは、既存マンション、新築マンション共に2回の大規模修繕工事を含む30年以上と設定されています。

ですから、管理組合において、修繕計画を検討する場合は、30年先まで見据えた上で計画を考える必要があるでしょう。

推定修繕工事項目の設定

長期修繕計画を立てる際は、どのような箇所が修繕の対象となるのか「推定修繕工事項目」としてまとめておく必要があります。

「推定修繕工事項目」については、国土交通省のガイドラインに沿って、現状のマンションの長期修繕計画や、個別のマンションの状況に応じて設定をしていきましょう。

国土交通省ガイドラインには、以下のような項目が、推定修繕工事項目として記載されています。

  • 屋根防水
  • 床防水
  • 外壁塗装等
  • 鉄部塗装等
  • 建具・金物等
  • 共用内部
  • 排水設備
  • ガス設備
  • 空調・換気設備
  • 電灯設備等
  • 情報・通信設備
  • 消防用設備
  • 昇降機設備
  • 立体駐車場設備
  • 外構・附属施設

必要箇所を確認し、修繕漏れがないようにしたいですね。

推定修繕工事費の算定

推定修繕工事項目を設定したあとは、推定修繕工事項目ごとに、単価を設定し、修繕に必要となる費用を算定します。

推定修繕工事費を算定することで、修繕積立金の妥当性などを判断することができるようになります。

収支計画

長期修繕計画期間に見込まれる推定修繕工事費を算定することができたら、計画期間に見込まれる工事費の累計額を、修繕積立金や駐車場等の使用料からの繰入や、修繕積立金運用益でまかなうことができるように計画する必要があります。

推定工事費用の累計額を、修繕積立金などでまかなうことができない場合は、積立金の増額など対応が必要となります。

また、大規模修繕のタイミングや工事の必要性などによっては、修繕積立金での対応が難しい場合があるかもしれません。

修繕積立金で工事費用が賄えない場合は、金融機関からの借入などで対応することになりますが、工事の遅れや住民からの反発に繋がる恐れがあります。

ですから、収支計画を立てる際は、借入をする必要がないよう余裕を持った計画を立てるようにしたいですね。

長期修繕計画は見直しが必要

長期修繕計画は、一度立てたあとはそのままというわけにはいきません。

なぜなら、建物の劣化状況や、社会環境や生活様式の変化など不確定要素に対応するために、定期的に計画を見直す必要があり、国土交通省のガイドラインでは、5年ごとに調査や診断を行い、結果に基づいた計画の見直しが推奨されているからです。

例えば、最初の大規模修繕時の調査の前に工事必要箇所が出てしまい、想定以上に修繕積立金を取り崩してしまった場合は、積立金の上乗せや、大規模修繕の後ろ倒しなど、計画を見直す必要が出てくるでしょう。

ですから、管理組合は都度長期修繕計画の見直しに対応する必要があると言えます。

さいごに

マンションの長期修繕計画は、マンションの資産価値や快適な住環境の維持には欠かすことができません。

計画の作成は、管理組合が単体で行うことはないかもしれませんが、管理組合としても内容を把握しておく必要があります。

  • 計画期間と修繕周期の設定
  • 推定修繕工事項目の設定
  • 推定修繕工事費の算定
  • 収支計画

以上については、長期修繕計画へ盛り込む必要がありますので、理解しておくようにしましょう。

また、長期修繕計画は、5年ごとなど一定の期間で見直しをする必要があります。管理組合の理事は引き継ぎされていくことも多くありますので、確実に計画の見直しが行われるようにしたいですね。

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